ギルドホール

ギルド(Guild)とは、中世時代から各業種別に結成された組合のこと。ギルド内で製品の規格、品質、価格を管理することで、品質維持を図りました。その集会所として建てられたのがギルドホール(Guildhall)。と言っても、イギリスにある全てのギルドホールが組合に関係した建物とは限らず、町役場等を指す場合もありますけど。

さて、そんな中の一つ、ラヴェナム(Lavenham, Suffalk)にあるギルドホールに行ってきました。ここはナショナル・トラストが管理しています。いざ、公共交通機関を使って行こうとすると、電車とバスの乗り換えが必要という、なかなか厄介な場所にあるラヴェナム。大概、歴史があって趣のある場所はそんなところに残されていたりする。今でも中世の街並みがこれでもかと言わんばかりに、ずらーりと残る素敵なまちなのです。既存する商人の家の多くが1460~1530年頃に建てられた木造建築物(Timber-framed buildings)で、中心部を歩くだけで、昔にタイムスリップしたかのような独特な雰囲気が漂ってきます。建物のファサードが歪んで波打ってる風景が何とも言えない。


 
 

さて、この町が何で栄えたかというとコレ。(羊ちゃん)羊毛。というより、毛織物でした。この辺の土地は羊の放牧に最適とは言えず、地元でとれる羊毛は質が悪いためにマットなどの詰め物に利用されたのだとか。そして織物用にはリンカンシャー(Lincolnshire)などの肥えた土地で放牧された質の良い羊の毛を購入していたそうです。


ラヴェナムには一時期ギルドホールが5つ存在したことがあり、その中でも一番立派だったのが、1530年頃に建てられた「コーパス・クリスティ(the Guildhall of Corpus Christi)」としても知られるこのギルドホールだったようです。マーケット・プレイスの前にドーンと構えるこの建物、確かに存在感がありました。


一般的に、ギルドホールというものは特定組合専用もあれば、複数組合が共有したものもあるそうで、この規模の町でそれだけの数があったということは、いかにこの町が裕福であったかを物語っている訳です。現に1524年までラヴェナムはイングランドでも14番目に裕福な町だったと記録されているそうです。因みに技術ある職人さんが一日せっせと4~5ペンス稼ぎ、数シリングすら滅多に貯金できないという時代、自由に使えるお金が£10という商人はそこそこリッチ。£50なら完全な金持ちという感覚だったそうで、レヴェナムには毛織物で儲け、それが£10以上という商人がゴロゴロいた。中でも一番の大金持ちは破格の£3,200だったというから驚きです。

そして、ここのギルドホールで見た毛織物の話をしようと思ったけど、長くなってしまったのでまた次回。。。

コメント